オフィス移転にかかる「入居」と「退去」の費用

第2回は、「オフィスの移転、なぜこんなに費用がかかる?」です。オフィスの移転費用についての素朴な疑問を解決していきます。
オフィス移転をするということは、前のオフィスを退去して、新しいオフィスに入居することになります。つまり、新しいオフィスを探して「入居時の費用」を支払い、もともといたオフィスの「退去時の費用」も支払う必要があるということです。それぞれにかかる費用を、ざっくりあげると、次のようになります。

入居時の費用

物件取得費
物件取得するための保証金(敷金)・礼金・仲介手数料、前賃料など。保証金は、賃料の3カ月~10カ月分が相場。

内装工事費
内外装の工事費、設備・通信工事費、備品・家具費などがかかります。

引越し費用
前のオフィスから新しいオフィスに家具や書類等を運ぶ費用。料金は物量によって変わります。

退去時の費用

退去日までの賃料、水道・光熱費
物件の解約予告期間として3~6カ月を定めているのが一般的です。退去日まで、賃料などの費用がかかります。
定期借家契約の場合は契約期限が定めれれています。

原状回復費
退去時には、物件を元の状態に戻すことが定められ、工事の必要があります。入居時に支払った保証金(敷金)で行いますが足りないときは、追加で費用を支払う必要があります。

物件の広さや工事の内容、従業員の数などによっても、オフィス移転にかかる費用の額は大きく変わってきます。あらかじめ、どれくらいの資金を用意しておくことが必要か知って置くことが必要です。

オフィス移転費用を削減するには?

賃料の高い物件から、賃料の安い物件に移る場合は、それ自体が大きな費用の削減につながりますが、一時的には退去と入居の費用が同時にかかってくるので、オフィス移転費はどうしてもかさみます。少しでも、予算を抑える方法をいくつか紹介します。
まず、移転費用を削減するには、居抜きオフィスを利用する方法があります。居抜きオフィスとは、前のテナントが使用していた内装設備や家具などを引き継いで借りられる物件です。同じように、セットアップオフィスという選択肢もあり、こちらは統一感のある家具が設置されたおしゃれな物件で演出してあることが多いです。いずれも初期費用を抑えることができ、引っ越しにまつわる様々な労力を軽減することも可能です。
家具について考えてみましょう。前のオフィスで使っていたデスクやチェア、キャビネットを、新しいオフィスで再利用するというのがひとつの方法です。あるいは、引っ越しをする際に、家具を中古業者に引き取ってもらうという選択肢もあります。廃棄費用が出ず、値段がつけば、むしろ費用がプラスになることも期待できます。

原状回復工事費が、もっとも高額になりやすい!

一般的にオフィス移転にかかる費用の中で、もっとも高額になりやすく、想定外の思わぬ出費として請求されやすいのが原状回復費です。
入居者には、退去する際、オフィスを最初の状態に戻す義務が課せられています。そのために行う工事が、原状回復工事です。基本的には、時間の経過による劣化である「経年劣化」や、通常の利用の中でできた傷や汚れなどの「通常損耗」については、原則として入居者に原状回復の責任がない場合があります。(賃貸借契約書の内容によります)。ただし、掃除をおろそかにしたり、入居者の故意で生じたりした傷や汚れについては、修繕費用負担が求められます。
壁や床など、オフィスの汚れた部分を取り替えるだけなら、それほど費用はかからないのでは、と思う人もいるかもしれませんが、実際には驚くほど高額な金額請求されることがよくあります。たとえば、大規模なオフィスであれば、保証金(敷金)は賃料の12カ月分請求されことが多くありますが、その額に匹敵する原状回復工事費を請求されることがあります。つまり、月の賃料が1000万円なら、1億円以上の原状回復工事費が請求される可能性があるということです。
本来、保証金は、退去時の原状回復工事費を差し引いて戻ってくるものです。ところが、実際には、保証金でもまかなえない高額の原状回復費を請求され、保証金が戻らないどころか、追加で費用を請求されることすらあるのです。

原状回復費が高額になる理由は、複雑なしくみにあり!

原状回復工事の費用が高額になってしまう理由に、工事区分が分かりにくく、さらに、工事をする業者がビル側の指定業者であるという問題があります。まずは、以下の3種類の工事の違いを知っておきましょう。

工事の種類 費用負担 業者 内容
A工事 ビルオーナー
(管理会社)
ビル側の指定業者 ビルの躯体(くたい)部分、外壁、エレベーターなどの共用施設
B工事 入居者 ビル側の指定業者 テナントの区画内の空調設備、排水・排気のダクトなどの設備
Cの設計によるAの変更工事
C工事 入居者 入居者側の業者 テナント内部のクロスの貼り替え、間仕切り、照明器具などの設備

A工事とB工事、C工事は以上のようなすみわけがありますが、なかなか素人には分かりにくいため、本来、原状回復工事で行う必要のないものまで見積もりに入れ込んで請求してくるケースも多くあります。
特に、注意が必要なのは、B工事です。なぜなら、費用負担は入居者でありながら、その工事を行うのはビル側が指定した業者であるためです。ここで、A工事の内容をB工事に組み入れたり、C工事の内容をB工事に組み入れたりしながら、ビルオーナー(管理会社)と結びつきの強い指定業者が、高額の見積もりで原状回復工事費を請求してくるのです。

原状回復費の交渉がもっとも減額への近道

オフィス移転において、もっとも費用を削減できる余地があるのは、原状回復工事費の減額交渉です。ケースにもよりますが、最初に提示された見積もり額の50%以下に減額できるケースも珍しいことではありません。
「原状回復費の価格を下げたい」「退去日まで時間がない中で、急に多額の原状回復費を請求された」などのトラブルにあった際には、原状回復費交渉のプロに相談することが解決の近道です。
その際にはぜひ、交渉のプロである株式会社スリーエー・コーポレーションにご連絡ください。原状回復費交渉を筆頭に、オフィスの退去から移転までのあらゆる作業を、トータルでサポートしていくことも可能です。

次回は「第3回 オフィスの移転、成功させる秘訣は?」を紹介していきます。

スリーエーコーポレーションより

原状回復アドバイザー 堀田 猛
原状回復を知るには入居する時と同様に工事区分の把握も必要です。しかし賃貸者契約条件には「甲(賃貸人)または(甲)賃貸人の指定する業者が工事を行う」と記載していることが多く、金額を調整することが困難と思われている方が多いのです。
いやいや困難ではありません。プロがご相談に応じていただけることを知っておいてください。