第2回 店舗の退店(閉店)と出店(開店)の費用

店舗移転 成功への道

店舗の退店(閉店)と出店(開店)の費用

第2回は、「店舗の退店(閉店)と出店(開店)の費用」です。店舗移転の費用についての素朴な疑問を解決していきます。
店舗移転をするということは、前のお店を退店(閉店)させて、新しいお店を出店(開店)させるということです。つまり、その際に必要になる費用には、これまでの店舗を閉じるために必要な「退店(閉店)費用」と、新しく店舗を開くためのかかる「出店(開店)費用」の2種類があります。それぞれにかかる費用を、ざっくりあげると、次のようになります。

出店(開店)費用

物件取得費
物件取得するための保証金(敷金)・礼金・仲介手数料、前賃料など。保証金は、賃料の3カ月~10カ月分が相場。

店舗設備費
内外装の工事費、厨房機器や什器の入れ替え費、宣伝広告費などがかかります。

運転資金
経営が安定するまでの数カ月分の賃料、人件費、光熱費、材料費などが必要になります。

退店(閉店)費用

退去日までの賃料、水道・光熱費
物件の解約予告期間として3~6カ月を定めているのが一般的です。退去日まで、賃料などの費用がかかります。

従業員の給料(解雇予告手当)
移転先で雇うことができない場合、少なくとも30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

原状回復費
退去する際には、物件を元に戻すことが定められ、工事の必要があります。入居時の保証金(敷金)で行います。

店舗の規模や従業員の数などによっても、かかる費用の額は変わってきます。あらかじめ、どれくらいの資金を用意しておくことが必要か知って置くことが必要です。

退去時、入居者には原状回復工事の義務がある

移転先の店舗の規模にもよりますが、一般的に店舗移転にかかる費用の中で、もっとも高額になりやすく、同時に、思わぬ予想外の出費として請求されやすいのが原状回復費です。
入居者には、物件を退去する際に、入居した時と同じ状態に戻す義務が課せられています。そのための工事が、原状回復工事です。基本的には、時間の経過による劣化である「経年劣化」や、通常の利用の中でできた傷や汚れ「通常損耗」については、原則として入居者に原状回復の責任はありません。ただし、掃除をおろそかにしたり、入居者の故意で生じたりした傷や汚れについては、修繕費用負担が求められます。
飲食店などの店舗であれば、どうしても、毎日の営業で汚れた空調機器や排水設備のクリーニング、給排水設備工事、厨房機器の撤去などが必要になることが多く、一般的なオフィスの撤去よりも、費用がかさむことは確かです。
ただし、店舗の原状回復工事費用がかさんでしまう理由は、これだけではなく、もっと根深い問題がひそんでいます。

3種類の工事の違いを知っておこう

費用が高額になってしまう理由に、工事区分が分かりにくく、さらに、工事をする業者がビル側の指定業者であるという問題があります。まずは、以下の3種類の工事の違いを知って置きましょう。

工事の種類費用負担業者内容
A工事ビルオーナー
(管理会社)
ビル側の指定業者ビルの躯体(くたい)部分、外壁、エレベーターなどの共用施設
B工事入居者ビル側の指定業者テナントの区画内の空調設備、排水・排気のダクトなどの施設
C工事入居者入居者側の業者テナント内部のクロスの貼り替え、間仕切り、照明器具などの設備

A工事とB工事、C工事は以上のようなすみわけがありますが、なかなか素人には分かりにくいため、本来、原状回復工事で行う必要のないものまで見積もりに入れ込んで請求してくるケースも多くあります。
特に、注意が必要なのは、B工事です。なぜなら、費用負担は入居者でありながら、その工事を行うのはビル側が指定した業者であるためです。ここで、A工事の内容をB工事に組み入れたり、C工事の内容をB工事入れ込んだりして、ビルオーナーと結びつきの強い指定業者が高い見積もりで原状回復費を請求してくることがあるのです。

居ぬき物件についても知っておこう

前の入居者の設備がそのままの居ぬき物件に入居した場合でも、契約内容によっては、内装をすべて取り壊す大規模な工事によって、スケルトンの状態にすることを求められるケースもあります。
入居時の店舗物件の賃貸借契約書や特約などで、どのように記されているか、事前にしっかりとチェックする必要があります。
逆に、次の借主が見つかって居抜きで退去できるケースもあります。その際は、原状回復工事の費用を抑えることができます。ただし、居抜きでの退去を希望していても、時期や物件の状態によってできないこともあります。また、居ぬきで退去できると思っていたら、直前で話が白紙もどって、多額の原状回復費を請求されて、トラブルになるケースもあります。

「スケルトン」という危険な言葉

店舗の退去時の原状回復費にまつわるトラブルは、後を絶たないのが現状です。そのひとつに「スケルトンで入居」「スケルトンで原状回復」といった「スケルトン」と言う言葉の落とし穴があります。スケルトンとは、建築の専門家はよく、「躯体あらわし」と表現し、コンクリートむき出しの状態のことを言います。
入居する前にスケルトン状態であれば、目に見えてわかりますが、内装造作や設備が装備されている場合には、どこからどこまでがスケルトンかわからない場合があります。
また、たとえスケルトン状態でも、設備については、素人では把握しきれません。配管・配線は壁を貫通して外に出して、室外機は外壁か屋上に設置してあります。防災設備、電気の分電盤なども一緒です。簡単に「スケルトン」と言っても複雑で、それゆえに予想外の見積もりが入って来て思ったより高額になり、出店や退店の予算を超えてしまうなどのトラブルが起こってしまうのです。

トラブルになったら、すぐに専門家に依頼する

トラブルを打開するには、しっかりと契約書を読み解き、ビルオーナー(管理会社)との費用や工事内容のすみわけの交渉することが必要です。「契約内容が曖昧に書かれていて判断難しい」「管理会社との交渉が難航している」など、なかなか交渉が上手くいかない場合は、専門家に相談することが求められます。
「原状回復費の価格を下げたい」「退去日まで時間がない中で、急に多額の請求をされた」など、原状回復工事にまつわるあらゆるトラブルには、交渉のプロである株式会社スリーエー・コーポレーションにご連絡ください。

次回は「第3回 店舗(飲食店)の移転、成功させる秘訣は?」を紹介していきます。

スリーエーコーポレーションより

商業施設コンサルタント 堀田 猛
店舗は開店するのも閉めるのも高額なお金がかかります。その費用は減価償却や経費でおとしますが、いずれにしても投資に対する売り上げによる回収が必要です。開店の場合は月間や年間予算を組んでPLやBSに反映させますが、高額な原状回復費用は特別損失にするか減価償却しますが全てが減価償却にはならず、しかも店舗が存在しない場合は本部(企業)が負担してゆかなければなりません。
まずはその費用を最低限にする必要があります。