(株)エーエヌディー(12月5日)福岡地裁民事再生手続き開始‼︎
3A Coporation が原状回復義務と敷金清算を受諾した理由?
株式会社エーエヌディー(AND)2013年福岡で創業。破竹の勢いで売上を伸ばし、年商90億を超え、大化けの医療系フィンテックベンチャーと目された。急激な拡大路線人材育成と管理業務が売上についていけず赤字体質に陥り、そこに大口取引先大病院の債務不履行、一気に資金繰りに詰まり信用不安、自力再建を断念し、民事再生法を申請しました。その負債総額は40億円以上と推定されました。
実は東京支店の新設はRCAA協会会員アルバが仲介を行い、協会会員を通して原状回復義務履行に伴う敷金清算のお問合せがきました。一番法理に詳しい協会会員3A Corporation(3AC)萩原 大巳が本件を担当することとなりました。
今回の案件で昨年末にビットコイン運営会社破産清算に伴う原状回復義務と敷金清算を大晦日に合意した記憶がよみがえった。殿(しんがり)は、あらゆる法律が絡みスピード勝負、そこに債権者の怨恨という感情が絡む…時間がたてば経つほど損害金は雪達磨!プロの矜持をもってやり切るそれも一発勝負‼︎
民事再生法申請まで時間がない!敷金5,200万円は損害金で押収そのうえ追い金3,250万円!
物件概要
物件 | 品川港南口駅前スーパープレミアムビル/147坪 使用目的オフィス |
契約形態 | 定期建物賃貸借契約契約(期間内解約不可) |
借主 | 株式会社エーエヌディー |
貸主 | 大手不動産投資法人 代理人アセットマネジメント会社(B氏) |
BM兼指定業者 | 中央ゼネコン系列会社(C氏) |
敷金(預託金) | 5,200万円(1万円未満四捨五入、家賃の12か月) |
契約終了日 | 9か月後 |
月額家賃管理費 | 480万円 |
原状回復費用 | 4,136万円 |
(総額表示)
- 定借契約の残家賃
480万円×9カ月=4320万円→3500万円
※消費税免除また損害金として処理 - 原状回復負担金額
4,136万円 →1,700万円
※消費税免除 - 明渡し費用
①+②= 8,456万円→ 5,200万円
不足金額合計:3,256万円→ 0円
アセットマネージャーB氏は切れ者であり、上記①②③請求の法務根拠は100%立証でき、債権確定はすぐできます。
しかし、債権を確定しても損害金の回収は難しいです。民事再生法が確定して、管財人が裁判所から任命された時点で、3,256万円は一般債権となります。スズメの涙の債権となります。B氏は4半期ごとレンダー、投資家にリターンの開示と説明責任を負います。不良債権の説明と処理は苦痛以外ありません。
ANDの協議の失敗は?
C氏と協議を続けたことです。ビル側で誰が決裁権、主導権を持っているか?キーパースンとの協議以外、事務的に処理されていきます。こうなると原状回復が高い安いという問題ではないです。
すべて法律事務ですので、弁護士に委任して事務的に処理するか、また民事再生法申請にすると債権は即確定となり、債権者集会にて、弁護士が債権者平等の原則、再建計画を説明、賛否を裁判所に確認をして終わります。ここからが勝負となります。
なぜ、B氏が萩原と協議をするのか?
B氏からは不良債権にはしたくない、損害金3,256万円も回収もできる見込みもないことを感じました。
私は、「ビル側から定借を解除して下さい!期日は5か月、損害金は2,200万円損害金処理ですから消費税対象外、原状回復も負担金で処理。こちらも工事をやらないわけですから消費税免除、概算で家賃損害金2,200万円と原状回復2,800万円を合わせて5,000万円。それを基準にまとめませんか?」と提案しました。そうすれば、敷金5,200万円で200万円が返還されます。
B氏から、「契約解除はやります。家賃を2ヶ月滞納して解除要件を使えるようにしてください」と言われ、結果、家賃損害金は3,500万円と原状回復1,700万円で5,200万円に敷金でおさまりました。
結果
- 原状回復4,136万円から1,700万円(消費税免除)の経済的利益は2,436万円
- 家賃損害金は4,320万円から3,500万円の経済的利益は820万円
あわせて3,256万円の成果物となり、明渡し費用は0円奇跡の即決和解となりました!
ポイントは貸主からの契約解除要件、家賃2カ月滞納で解除要件を満たします。Bさんの見事な処理でした。社内とビル側業社根回し、良くまとめてくれました。
それにしても、不動産あがりのアセットマネージャーはとても強い!法律の応用よく知っており、次のテナントは速攻で誘致しました。
この記事を書いた人
萩原 大巳
【査定実績日本No.1 実績650社超のMr.原状回復】
・ワークプレイスストラテジスト
・ファシリティマネージャー
「原状回復・B工事」適正査定のパイオニア。現在、オフィス、店舗のプロジェクトマネージャーとして原状回復、B工事適正査定の他、敷金返還トラブル、資産除去債務について監査法人主催のセミナーでスピーカーを務める。