オフィスや店舗の原状回復は適正価格で減額できる!交渉の極意を伝授!

原状回復・B工事知ってトクするコラム

オフィスや店舗の退去時には、契約を遵守し原状回復をする必要があります。ただ、提示された原状回復工事内容価格の見積りに納得がいかず、交渉を考える担当者が大多数です。 

今回は、効果的に原状回復工事費用の交渉を進めるために知っておくと良い情報、極意を伝授します。 

オフィスや店舗の原状回復工事見積りは、交渉をするのは当たり前!

基本的にオフィスや店舗の原状回復工事においては、すべての見積りで交渉が可能です。適正な金額による原状回復工事見積りも稀にありますが、その場合でもテナント側は原状回復工事見積りを精査する権利があります。 

貸主側は説明責任を履行し、借主の理解を得る責任があります。(改正民法621条)提示された原状回復工事見積内容金額をそのまま認めてしまうのは、ビジネスパーソンとしてやってはならない行為です。 

原状回復工事は、賃貸借契約書、原状回復特約、工事区分表や原状回復要項などで明文化されていることを履行すればよいのです。また工事単価があらかじめ決められているケースもあります。こうした内容に沿った原状回復工事見積りが出ているかをきちんとチェックしましょう。  ひとつ注意しなければいけないのは、入居時や解約通知時に原状回復工事の金額を認め、押印までしてしまっている場合です。このケースではもう交渉はできません。また、原状回復工事見積りに納得し押印している場合も同様です。「その金額で問題ないですよ」と認めていることになりますので、交渉ができないのです。

オフィスや店舗の原状回復工事費用における交渉時の注意点

オフィスや店舗の原状回復費用における交渉は、早めに!

原状回復工事には発注期限があります。期限を過ぎてからも交渉を続けていては明け渡しが遅れ、遅延損害金が発生します。明渡日は工期を考慮して守ることです。
原状回復工事費用を圧縮するために交渉しているのに、余計なお金を使うことになっては本末転倒です。オフィスを退去する時は、すぐに原状回復工事の見積りを出してもらうようにして、すみやかに交渉に入るようにしましょう。
遅延損害金は賃料の2倍請求されるのが一般的です。明渡遅延損害金は絶対に回避して下さい。

発注したい原状回復工事金額を先に言わないように

価格交渉の基本ですが、自分が想定する金額は先に言わないことです。
例えば、300万円の原状回復工事見積りが出てきたとしましょう。テナントは250万円くらいにならないかと交渉し、受け入れられました。しかし「原状回復適正査定」が150万円であれば150万円まで下げられる権利を放棄したことになります。交渉の基準として「原状回復適正査定」のエビデンスが必要です。

原状回復工事の争点を明確にしてロジックを構築する

弁護士や専門家以外の方が交渉する場合にありがちなのが、話しているうちに論点がずれてしまうということです。原状回復工事見積りに問題点があれば、そこが争点なのです。その争点に対してロジックを構築することが交渉の極意です。争点は改正民法第621条を基準として、簡潔に5事項以内に絞り込んで下さい。
例えば「Aという争点があり、そこを正せば原状回復工事費用が100万円は安くできたはずですが、交渉しているうちにBの話になってしまい、原状回復工事費用が20万円しか安くならなかった」ということは珍しくありません。
安くすることができればまだ良い方で、「明渡し期日が迫り時間切れになってしまった」とよくあるのでご注意ください。

原状回復工事の相見積りを交渉の材料にする時は慎重に

オーナー側の業者が提示した原状回復工事見積りが信用できず、独自に知り合いの業者に指定業者見積りに工事単価を入れる「値入れ」をしてもらい、それで原状回復工事費用を交渉するというテナントさんがいらっしゃいます。これは厳禁です!
なぜなら、原状回復の定義範囲の工事項目をすべて認めた証(エビデンス)となります。本来ならテナント負担ではない工事が入ってしまっていたというケースが多いのです。この場合、テナント側は工事の項目を認めていることになりますので注意が必要です。これは愚策です。原状回復工事では、「本来テナントがやらなくていい部分が含まれている」というケースが本当に多いのでよくご確認ください。
工事内容は、賃貸借契約書や原状回復特約、工事区分表などで判断した、見積り条件書を作成、その条件書を基準に2社から見積りを提示してもらうことが相見積もりであり、競争見積りです 。

ADVICE ON ONE POINT

萩原 大巳

ワンポイントアドバイス

オフィスの移転、退去に伴う金額で大きな割合を占める原状回復工事費用ですが、価格交渉をする余地は充分にあります。テナント側としては費用を抑えられれば、それに越したことはありません。賃貸借契約書や特約、工事区分表、原状回復要項などに記載された内容と見積書を照らし合わせてみましょう。不要な工事が含まれていたり、水増し請求されていたりした場合、交渉によって、当初の見積もりより大幅に減額できる可能性があります。

原状回復費工事費用の交渉時で、特に注意していただきたい点は以下の4点です。

  • 発注期限以降の交渉では、遅延損害金が発生する
  • 希望原状回復工事金額を先に伝えると、その金額以下には下がりにくい(百戦錬磨の罠) 
  • 専門知識がない中での交渉は、論点がずれて上手く進まない
  • 相見積書での交渉は、不要な工事項目がないかを注意する

「原状回復工事費用が交渉できるかどうか判断できない」、また「うまく交渉する自信がない」という場合は、一度専門家に相談してみてください。交渉によってどのくらい原状回復工事費用が減額できるか、すぐに適正査定が可能となります。

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