オフィスの原状回復費用495万円│「天井を全面張り替えないといけない?」と疑問に感じた適正査定事例

仙台駅前の外観|オフィスの原状回復費用適正査定事例
※イメージ画像です

事例概要

項目内容
クライアントココネ株式会社
所在地宮城県仙台市
建物用途仙台駅前のオフィスビル
契約面積約54坪
当初見積額495万円
最終合意額324万円
最終合意額の当初見積比約65.5%
3ACのサポート内容契約書・原状回復範囲の確認、工事内容確認、見積査定

※本記事に記載している金額は、すべて税込の概算です。

宮城県仙台市のオフィスビルにおいて、隣のテナントに設置された空調のリモコンと自動制御システムの影響により、自社オフィス内で温度・湿度を調整できない状況があり、オフィスを移転することになりました。

退去にあたり、管理会社指定業者から提示された原状回復工事の見積は、坪単価約9.2万円、総額495万円でした。契約面積約54坪のオフィスに対する見積として、その内容を確認する必要がありました。

見積の中には、契約に組み込まれた原状回復特約に基づく、システム天井のボード全面交換が含まれていました。

原状回復コンシェルジュを運営するプロトライブ株式会社からの紹介を受け、ココネ株式会社より株式会社スリーエー・コーポレーション(3AC)に原状回復費用の適正査定をご依頼いただきました。

ご依頼を受けた3ACでは、貸室賃貸借契約書、原状回復に関する資料、現地調査の結果および見積内容を確認しました。その上で、原状回復の工事範囲と各工事項目を技術・積算面から整理し、見積内容を適正査定しました。

その結果、最終的な合意額は324万円となり、最終合意額の当初見積比は約65.5%となりました。

また、原状回復費を敷金から差し引いた後、1,481万円の敷金が返還されました。

「契約書に書かれているから仕方がない」

として、損傷していないシステム天井ボードまで全面交換する必要があるのでしょうか。

本記事では、貸室賃貸借契約書に組み込まれた原状回復の特約について、実際の工事内容や原状回復範囲を確認した事例をご紹介します。

原状回復特約「システム天井のボードは全面交換」は絶対?

今回の案件では、貸室賃貸借契約書の原状回復条項により、別紙の原状回復基準に従うことが定められていました。同基準には「システム天井のボードは全面交換とする」と記載されており、指定業者から提示された見積書でも、天井ボードの全面交換費用として130万円以上が計上されていました。

契約書に記載があると、そのまま工事を実施するものと考えがちです。しかし、実際の原状回復工事では、条項の内容、現地調査で確認した状況、見積に計上された工事内容に整合性があるかを確認する必要があります。

改正民法では賃借人の原状回復義務の範囲が明文化され、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、原状回復に関する契約条件を明確にし、当事者間で十分に確認することの重要性が示されています。

原状回復ガイドラインとは? 民法改正と特約の有効性まで、法人契約で絶対知っておくべきこと | RCAA協会 - YouTube

原状回復ガイドラインとは?民法改正との違いと特約の落とし穴【オフィス・店舗退去で損しないために】オフ…

ただし、貸主資産である建築資材や設備を借主負担で新品に交換する工事については、契約条項、損傷状況、工事範囲との整合性を個別に確認する必要があります。

そこで3ACでは、契約書の記載だけで結論を急がず、現地調査の結果と見積内容を確認しました。損傷のない天井ボードまで全面交換する必要があるのか、また区画形成部分の境界壁が原状回復の対象として適切に計上されているかを、工事項目ごとに確認しました。

本件では、契約に組み込まれた原状回復特約を前提に、実際に必要となる工事の内容と、見積が契約内容に沿って計上されているかを確認しました。3ACは、その確認結果を技術・積算面の資料として整理し、関係者間の協議に活用できるようにしました。

※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を参考にしています。本ガイドラインは主に住宅賃貸借を対象とするため、本件では個別の契約内容と工事条件を前提に確認しています。

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原状回復の適正査定で確認したポイント

今回の原状回復工事の見積内容について、主に以下の点を確認・整理しました。

システム天井ボードの全面交換

契約に組み込まれた原状回復特約では、システム天井のボードを全面交換すると定められていました。そのうえで、損傷のない部分まで全面交換する際の工事内容と見積への計上内容を確認しました。

区画形成部分の境界壁

区画を仕切る境界壁についても、見積では全面交換とされていたため、契約内容や原状回復範囲との整合性を確認しました。

仮設工事

本件の工事内容と現地条件を確認した結果、査定上は足場等の仮設工事を必要としない内容として整理しました。

電気設備工事

本建物の原状回復基準資料を確認し、インターホンや入退去管理設備を移設していないことから、クリーニングのみとする内容で整理しました。

仮設工事・直接工事・諸経費

旧四会連合協定約款の考え方に基づき、仮設工事、直接工事、諸経費(現場施工管理費を含む)に区分して内容を整理しました。

原状回復費用は495万円から最終合意額324万円に

3ACでは、確認・査定した内容を査定報告書、協議用資料、議事録に整理しました。これらの資料は関係者間で共有され、原状回復工事の内容を確認するための資料として活用されました。

その結果、当初495万円だった原状回復工事の見積に対し、ビル側からは340万円との回答がありました。

その後、査定内容を踏まえて関係者間で協議が行われ、最終的に324万円で合意しました。最終合意額は、当初見積額495万円に対して約65.5%です。

項目金額
契約面積約54坪
当初見積金額495万円
当初坪単価約9.2万円/坪
最終合意額324万円
合意後の坪単価約6万円/坪
当初見積との差額171万円
最終合意額の当初見積比約65.5%
敷金1,805万円
敷金返還額1,481万円

※表中の金額はすべて税込の概算です。端数処理の関係で、坪単価や比率の計算結果が一致しない場合があります。
※本事例は個別案件の実績です。契約内容、原状回復範囲、施工条件などは案件ごとに異なり、同様の結果を保証するものではありません。

なお、カーテンレール、パーテーションの撤去、LAN、コンセント工事については、テナント側で別途手配する工事として整理しました。

オフィス退去時は「契約書に書いてあるから」だけで判断しない

今回の事例では、貸室賃貸借契約書に組み込まれた原状回復特約として、別紙の原状回復基準に「システム天井のボードは全面交換とする」と定められていました。

3ACでは契約書の記載だけで判断せず、実際の工事内容、原状回復範囲、見積内容を確認・整理しました。天井ボードや境界壁だけでなく、仮設工事、電気設備工事、諸経費についても、その内容や計上方法を確認しました。

オフィス退去時の原状回復では、

  • 契約書にどのような特約が定められているか
  • 原状回復の範囲はどこまでか
  • 実際にどのような工事が必要か
  • 見積に含まれる工事内容は適切なのか
  • 仮設工事や諸経費などがどのように計上されているのか

といった点を一つずつ確認することが重要です。

特に原状回復工事は高額になることもあるため、工事内容や数量、諸経費の考え方まで確認しておくことが大切です。

本件の関係者・物件情報

項目内容
賃借人ココネ株式会社
賃借人アドバイザー株式会社スリーエー・コーポレーション
賃貸人大手信託銀行会社
貸主側管理会社大手不動産管理会社
見積作成者貸主側指定業者
建物宮城県仙台市内のオフィスビル
契約形態貸室賃貸借契約書
契約面積約54坪

※建物名および関係会社名は匿名化しています。

オフィス・事務所の原状回復見積でお困りではありませんか?

オフィスや事務所の退去にあたり、原状回復工事の見積や契約内容について、次のようなお悩みはありませんか。

  • 契約書に「全面交換」と書かれているが、本当に必要なのか確認したい
  • 管理会社や指定業者から提示された原状回復見積の内容を判断できない
  • 原状回復工事の範囲が契約内容と合っているのか確認したい
  • 見積金額の根拠を社内で説明できる資料が必要
  • 退去期限が迫っており、原状回復費用を早めに確認したい

3ACでは、原状回復工事の見積内容を技術・積算面から査定し、契約内容、原状回復範囲、工事内容の確認結果を整理します。企業が社内および関係者間で適切に判断するための資料作成をサポートしています。

指定業者から原状回復見積が提示された段階で、早めにご相談ください。原状回復見積の内容や契約内容について、社内だけでは判断が難しい場合にもご相談ください。

関連サービス:

オフィス・事務所の原状回復費用に関するよくある質問

契約書に「全面交換」「全て交換」と記載されていても、見直しの余地はあるのでしょうか?

契約書の記載だけで工事内容が決まるとは限りません。

契約書の記載は重要ですが、実際の原状回復工事については、契約内容だけでなく、原状回復範囲や工事内容、見積内容との整合性を確認することも重要です。

原状回復工事の見積金額が高い場合、何を確認すればよいですか?

まずは見積金額ではなく工事内容を確認することが重要です。

工事項目や数量、単価だけでなく、仮設工事や諸経費の内容、契約書との整合性も確認しましょう。金額だけを見るのではなく、「なぜこの工事が必要なのか」まで確認することがポイントです。

管理会社や指定業者から提示された原状回復見積も確認してもらえますか?

 はい。

管理会社や指定業者から提示された見積についても、工事内容、数量、単価、諸経費などを技術・積算面から確認できます。契約内容や原状回復範囲との整合性も整理します。

原状回復費用について相談するタイミングはいつがよいですか?

指定業者から見積書が提示された段階での相談をおすすめします。

退去日が近づくと協議や調整の期間が限られるため、見積内容に疑問を感じた時点で確認することが大切です。