【商業施設店舗】本来ならB工事になる工事を全てC工事で原状回復できました!原状回復も工事区分表が必要!
【退去物件要綱】
賃貸人:A社
賃借人:株式会社リリーフ
建物名称:アプレシオ新座店・アプレシオ本厚木店
賃借面積:8602㎡ 282坪・784.58㎡ 237.34坪
明渡し日:2019年9月・2020年3月31日
エリア:埼玉県新座市・神奈川県厚木市
【退去工事 実績数値】(税別)
アプレシオ新座店:13,000,000円
アプレシオ本厚木店:11,000,000円
「原状が分からないので、スケルトンで」と賃貸人が。 これが大きな間違いを引き起こす。原状回復も工事区分表が必要。
インターネットカフェの閉店が決まり、解約明渡しを行うことになったクライアントの商業施設店舗から原状回復について、依頼があり、詳細を確認させていただいたところ、解約に伴う原状回復工事をして明渡しをするが、賃貸人側は「スケルトンでいい」と言われたということでした。
早速、クライアントから開示していただいた各種資料を確認したところ、入居時のビル側設計図書が不明確である上に、新築時に入居しているため躯体部分の変更がどこからどこまでなのかが不明でした。
そこで、あるだけの図面を参考に、入居する時のような『工事区分表』を弊社スリーエー・コーポレーションで作成し、賃貸人(ビルオーナー)・仲介管理会社・賃借人(テナント)との間で数度と打ち合わせをして原状回復区分と範囲を決めていきました。
そもそも、なぜこのような状態になるのでしょう?
原状回復区分と範囲についての協議が必要になる理由として、賃貸人側から依頼された「スケルトン」という言葉には危険があるからです。
「スケルトン」で入居した時のスケルトン状況が曖昧であり、設計図面の記録、変更した時の記録、そして工事区分表の明確さこれが無いと退去するときにこのような問題が起きるのです。
たとえば、窓を開口し加工して排気設備を作り、エアコンを設置するのに室内から屋外まで冷媒管などを貫通させ、屋外の水道やガスメーターから室内に引き込む配管を貫通させた。この場合は、全て撤去し穴を塞ぎますが、次のテナントがまた穴をあけて貫通させたり、冷媒管を外部に持ってゆかなければならず、合理的ではなく建物も損傷も増えます。
大型ショッピングセンターや商業施設では入居時の工事区分表と退去時の原状回復要綱などに詳しく記載されていますが、一般の建物賃貸借ではそれが無く、トラブルに発生することも多くなっています。また「当時の担当者がもういない」と賃貸人側から伝えられましたが、仮にその人が存在したとしても何の取り決め証拠がないので、全てが曖昧なのです。
担当コンサルタントからのコメント
オフィスでも店舗でも、スケルトンという言葉はあまり使用せず、入居時の工事区分表と退去時の原状回復要綱に従い、またその取り決めがない場合は新たに作成して、解体撤去部分・残す部分・補修する部分・復旧する部分を一つ一つチェックすることが望ましいのです。
今回は、賃借人の依頼通りに原状回復工事を行っていた場合、すべてB工事として対応しなければならなかったところ、全てテナント側工事のC工事対応が可能となったため、クライアントにとっても高額なB工事費用がかからずに済み、喜んでいただけました。