A工事・B工事・C工事、3種類の工事の違いは?
__建築業界では、工事の種類によって、A工事、B工事、C工事に区分されていますよね。業界に入ったばかりの頃は、よくわからなかったんですよね。
ひろみA工事は建物そのものの工事、B工事は給排水管や空調設備などの工事、C工事は内装やパーテーションといった入居者が取り付ける部分の工事だ。最近A工事は、コンペがあるなど価格競争もあって、あまり儲からなくなっている。実は利益が出やすいのは、建物のオーナーや管理会社の指定業者がコンペなしで行うB工事やC工事なんだ。
__だから原状回復工事は、価格が高騰しやすいんですね。さらに、退去まで時間がないことも多いから、言い値で受け入れてしまうことも多い。今回も退去までの時間が差し迫った状態での交渉でした。
ひろみ管理会社の指定業者がB工事やC工事をとり行うことになっていたが、今回は、クライアントが不動産業で、C工事に精通していることもあり、C工事の部分をこちら側でとり行うことを要求した。
__MDIが持っている不動産や建築のノウハウや技術も駆使し、まさにクライアントとがっちりとスクラムを組んで、原状回復費の値下げ交渉を展開していきました。

指定業者に連絡がとれない、まさかの事態に?!
ひろみ管理会社にとっては、スリーエーの値下げ交渉と、C工事の引き受けで、ダブルパンチといったところかな。
__ところが、ここで厄介な問題に巻き込まれてしまいます。「早急に最終金額を確定しないと、B工事をやらない!」と指定業者が駄々をこねて来たんです。
ひろみ自分達の利益がどんどん減っていく中で、怒って拗ねてしまったんだな。
__それ以降、指定業者にメールを送っても返信がなく、いつ電話をしても出てくれなくなります。完全に居留守をつかわれていました。

ひろみとにかく時間をかせぐ「牛歩作戦」で、こっちにプレッシャーを与えて、今の条件で妥協させる作戦だろう。追い詰められて、それ以外にできる方法がなくなったわけだ。
__クライアントであるMDIと話し合いのうえ、弁護士からの通知書を、ビルの管理会社に送り付けました。管理会社に促されて、しぶしぶ指定業者も、交渉の席に現れることになります。
ひろみいよいよ、最終決戦の幕開けといったところか……。
__今回はここまで、次回は、管理会社と指定業者との最終決戦。予想以上の大幅減額で決着をつけます。

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