飲食店の「撤退」で必要になる原状回復費

__まずは、通常の店舗の撤退の例として、有限会社カモデ様(以降敬称略)の事例を紹介していきます。有限会社カモデは、石川県を拠点に居酒屋を展開している企業で、東京の神保町に2011年「北陸集らく」という店をオープンしています。

ひろみ北陸の素材にこだわった、なかなか良い店だよ。神保町の店は、結構人気店で、評価も高いよね。

__その好調を受けて、2015年に茅場町にも「北陸集らく」を出店しますが、集客に苦戦し、2019年に撤退を決断します。

ひろみ茅場町は、証券・金融の町として栄えた場所だけれど、バブル崩壊以降は、賑わいが失われてきている。いくら人気店でも、立地が厳しかったと思うな。

__もともと居ぬきで入った経緯があります。有限会社カモデが解約届を出すと、ビルの管理会社が新たに次に入る店を探し、「次のテナントが居ぬきで入れば原状回復費はかからない」と伝えて来たそうです。

堀田居ぬきカスタマイズの出店は、誰がどこまで手を加えたのかわかりにくくなるから、退去時のトラブルも起こりやすいので要注意ですよね。入居時は安く入れるけど、落とし穴が待っていることも…。

__まさに今回は、そのケースでした。解約まで1ヵ月を切ったところで、「次の借り手がみつからないからスケルトン(店の内装を何もない状態にすること)にしたい」と、原状回復費の請求が来たんです。その額、なんと800万円です!

問題点を指摘し、大幅減額に成功する

__今回は、消費者センターの紹介で、スリーエー・コーポレーションが介入することになりました。さっそく管理会社に面会し、居ぬきをほのめかしておいて急に多額の原状回復費を請求したり、クライアントが面会を求めても断ったり、不誠実な対応を指摘していきました。

堀田原状回復費の見積もりもずさんで、長いこと居ぬき物件で、誰がどの段階で手を加えたのか全く把握できていないのに、何でもかんでも見積もりに含まれていたみたいですね。

ひろみビルの管理会社の管理体制の問題だよな。流石に、形勢が悪いと見たのか、すぐに弁護士を出して来たね。

__最終的には、弁護士間での交渉となり、最初の見積金額800万円から、合意金額480万円まで、320万円の削減に成功。敷金が家賃の10ヵ月分で6,845,000円支払っていたので、原状回復費としては実追加費用無く、敷金内で原状回復費用が収まったことになります。

ひろみ飲食店を「撤退」する際に、原状回復費がいくらかかり、敷金はどれだけ戻って来るかを抑えておくのがポイント。交渉で傷口を浅くとどめ、次の一手「再構築」につなげていくことが大切だ。

__生き残りをかけて、「撤退」と「再構築」迫られている外食産業。次回はコロナ禍の飲食店の「撤退」と「再構築」について紹介していきます。