査定員になった3つの理由
萩原「原状回復・敷金」裏を語る
バブル崩壊後に、原状回復工事と出会う
「ヒロミ社長って、ずっと建設業界なんですか? なんか全体的に、それっぽいなぁって」
そうだよ。大学卒業して、建築士の資格とって、26歳の頃には、職人が20人くらいの現場監督をしていたよ。みんな40、50代くらいのおじさんだったから、俺なんか彼らからみたら小僧だよね
「現場での武勇伝とか、あるんですか?」
社会に出たてで、年上への配慮ある言葉づかいも知らず、気配りもせず現場管理のルールにのっとって厳しくやっていたら、20人くらいいた職人がみんな怒って帰っちゃったことがあったんだよ。そんな経験を通して、現場の仕事や、人との関係性を学んでいったなぁ。ただの生意気な野坊主だったねー
「ぶっとんだ若手社員だったんですね」
その後、30歳のとき会社を作って独立して、ゼネコンの下請けとか不動産価格査定の仕事を始めたんだ。でもバブルが崩壊して仕事が激減したの。
そんな頃、オフィスを退去する際に元の状態に戻す原状回復工事の仕事をやるようになったんだ。
原状回復義務履行で敷金返還の権利が確定する。高額な預託金(敷金)と原状回復義務はセットなんだよ。この原状回復高騰問題に衝撃を受けたんだ。
原状回復工事って、指定業者以外施工不可で独占的地位を法律で保証してるのよ。これは理不尽だよね
業界を変えるべく、原状回復の世界へ
「でもどうして、原状回復適正査定のスペシャリストになろうと思ったんですか?」
指定業者制度と高額な敷金制度って日本だけなんだよ。
マネジメントって、日本語では2つある。施工を管理する管理業務と建築工事全体を監理監督する施主の代理人業務の監理。私は監理のスペシャリストを目指したってわけ。
そして私が査定員になろうとした理由の1つ目は、原状回復工事の悪しき実態を知ってしまったこと。
ビルを退去するときの原状回復工事は、ビルオーナーや管理会社などの指定業者が行うことがほとんど。だから、競争原理が働かず、価格がつり上がり、中には法外な請求をしてくるところもある。借主側は素人だから交渉の余地なく、言い値に従わざるを得ないんだ。敷金から原状回復工事費を差し引けば一件落着なの
「つまりは、入居時に支払った敷金(家賃10カ月分ほど)が、退去時にはほとんど戻ってこないってことですよね! 先に預託金(敷金)を預けさせ、返さないなんてずるいなぁー」
働き方をデザインする時代になったからオープンなフレキシブルオフィスが求められる
2つ目は、原状回復やB工事の世界の状況を調べてみると、ヨーロッパやアメリカには英単語すらなく、そのしくみがあるのは日本だけということがわかった。そんな悪しき風習にメスを入れたいと思ったんだ
「日本の不動産業界のもうけのカラクリここにあり、って感じですね」
これからグローバルビックテックがユニコーンを国際都市東京にアジアのヘッドオフィスとして誘致する政策が日本の成長戦略に直結する。
いつまでも大手デベロッパー、財閥系企業がスクラップ&ビルドの原状回復・B工事を繰り返すのは、その法務根拠が借地借家法だから。この法律をグローバルスタンダードにしないとアジアのヘッドオフィスなんて儚のまた儚で終わるよ。失われた30年が40年に向かっている。
フレキシブルとは柔軟性を意味する。解のない混迷の時代、グローバルスタンダードのソフトローの法治国家が時代に適応していく。オフィスもUSAやUKではオフィスにおいても雇用契約がフレキシブル、オフィス自体もフレキシブルオフィスに向かっているの。
カッコよく言うと「既得権益をぶっ壊す!」「蟻の一穴」を目指してるわけよ
現代の黒船来襲は、ITネットワークとグローバルスタンダード
3つ目は、原状回復のしくみを造って守っているのが、国交省、デベロッパー、財閥系不動産、ゼネコンという、誰も国内では太刀打ちできない権力構造があるということ。そこで業界変動を起こせるのは、異端児の自分しかいない!そう思ったからなんだ
「異端児ヒロミ、何だかかっこよすぎです! 僕、どこまでもついてきます!」
巨大で強靭な相手に正義の剣、それが「原状回復・B工事適正査定」なんだ。
英語圏では「アセスメント」と言っている。2020年4月に日本も民法改正が実施されたんだ。これで敷金も原状回復も明文化されたのよ。公正透明に近づいてきてる。
この改正民法第621条 原状回復の定義範囲、工事内容の明文化の法理を基礎に原状回復・B工事の適正査定の伝道師をやりつづけることが萩原大巳の使命と思ってる。
IFRS(国際会計基準)で原状回復は資産除去債務の対象になった。SDGsもGX(グリーントランスフォーメーシヨン)もグローバルスタンダードなの。
これって幕末の黒船来襲の現代パージョンなんだよ。ITネットワークとグローバルスタンダード(国際法)が進化の両輪なんだよ。残念なことに我国は、周回遅れになってしまったね
おわりに
幕末の大政奉還から77年後に敗戦、敗戦後77年が2022年。ロシア軍のZマークは戦後77年を意味します。
今年2023年は新しい幕開けの年の始まりです。この激動の時代は、個人個人(パーソナライズ)に向かっています。
激動の時代は、「一身独立して一国独立す」福沢諭吉先生の学問の薦めの一節です。
安全保障が敗戦後はじめて真剣に議論されています。敗戦国に77年も勝戦国の基地がある事実は歴史上存在しません。英語ではプロテクトレイト(protectorate)といい、保護国・保護領を意味します。
そろそろ個人個人が主役の国家を創造する時代の始まりです。オフィスも店舗も新しい時代のワークプレイスの始まりの時代です。