「敷金がもどってこない」のは日本だけ?敷金では原状回復費が足りない!

「敷金がもどってこない」のは日本だけ?敷金では原状回復費が足りない!

萩原「原状回復・敷金」裏を語る

敷金は払わなくてもOKなの!?

「社長、敷金ってなんのために払うんですかね?」

ひろみ

敷金て、保証金とかいろいろな呼び方あるよね。これは全て家賃を払わない借主に対して、「担保として先に現金を預託して下さいよ」という制度なの。
名古屋から北、関東や東日本は「敷金」が多く、関西は保証金が一般的だよ。全国に支店のある大手デベロッパーとかは「敷金」で統一してるね。

「それって世界共通なんでしょうか?」

ひろみ

英語圏では敷金も保証金も全て債務不履行を担保とする預託金(現金預金)として会計処理しとる。だから英語では「デポジット」、国際会計基準に近づいてるわけよ。
法律は国によって違うよね。つまり現在、グローバルスタンダードというものはない。
でも、FAGAMや次の時代を担うユニコーン企業にとっては、世界最大の市場アジアのヘッドクォーターをどこにおくかは経済成長の必修条件だし、国際都市東京にアジアのヘッドオフィスを新設する政策が必要なの。

「てことは、日本も合わせていかなきゃですよね?」

ひろみ

そこで遅まきながら120年ぶりに民法を改正したわけ。
賃貸借契約の「敷金」の定義を明文化したのが、民法第622条の2.1項ってわけ。
日本の独自に進化した戦後右肩上がりの経済成長、つまり貸主優位で「貸してやってもいいよ」が賃貸契約の根っこにある。だから「敷金が一律家賃の12倍」とか、「原状回復義務を履行しないと敷金返還はありませんよ」とか縛りがキツイ。
しかも原状回復工事は指定業者とかさ。これって米・英・EUなら独占禁止法や公正取引で成立しない法律だよ。
で、敷金返還と原状回復はセットだから改正民法では原状回復も第621条で原状回復の定義範囲工事内容も明文化したの。
ところが、2020年4月執行の改正民法と同時にコロナバンデミックスが経済を直撃したもんだから中小ビルは空室だらけで中小企業も財務が損傷してしまった。
高い原状回復費用で敷金を返還しない…そんなトラブルが多発しているってわけよ。

「なるほど…」

ひろみ

敷金では原状回復費が足りない」こんな問題が多発しとる。困った社会状況なんだよ。
だから俺は、一般社団法人RCAA協会と力を合わせて『中小規模原状回復敷金返還相談センター』を開設したんだ。
日々、中小個人経営者の虎の子の財産敷金返還の相談に乘っているってわけ

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「社長、それってソーシャルグッドですね!『弱きを助け、強きを挫く』武士道じゃないですか」

ひろみ

そう。敷金は払わなくてもOKなの。米・英・EUは敷金なんかないんだから

「会社じゃなく個人の場合も、アパート借りるときの敷金って高くないですか? 家賃の3カ月分とかですよ」

ひろみ

確かに個人でもいろいろ名目をつけて3カ月ぐらいかかるよね。最近では連帯保証がない代わりに家賃保証が一般的になってきてるよ。
事業用だと10~12カ月とか払うこともあるよ。でも、これって実は、交渉しだいで何とかなるけどね

「企業だとほぼ1年分かぁ~。でもほんとに、敷金払わなくてもいいんですか?」

ひろみ

敷金制度って、日本にしかないんだよ。だから、海外の企業が日本に来たときは、強気な交渉をする。
例えば、うちのクライアントである某国営放送なんかは、「敷金を払わなくてもいいなら借りるよ」という条件で、実際に物件を借りているんだ。敷金の目的は家賃の債務不履行を担保することが目的だからさ。
「世界一の銀行からLC(Letter OF Credit)出しますから」で協議するのよ。アングロサクソンは強かだよ。日本人は外人に弱いからね

「ちょっと、やってみたいけど僕では無理ですね…」

ひろみ

もちろん、社会的な信用があるからできることだけど。個人や中小企業だと、保証会社つけるなどしないと難しいかな

「僕じゃ、できないじゃないですか!」

実は、日本の敷金制度は遅れている!

ひろみ

まぁね。それにしても、日本のように、一律で12カ月分もの敷金を積まないといけないような国は、他にはないよ。日本の敷金制度は、世界的にも遅れている

「ということは、海外に行けば、敷金なくても物件借りられるかも!ところで、なんで日本は、そんなに世界のしくみと違うですかね?」

ひろみ

ヨーロッパは石を使った建築で500年くらい建物の耐久性がある。建物を大事にして、内装はそこに住む人が自由に新しくしていくという考え方だ。もともと木の文化だった日本は、建物自体も数十年で建て替える。それに、限られた年数の中で回転率を上げるために、業者が次に入る会社のためにきれいに整える。海外がオートクチュールの一点ものなら、日本は既製服みたいなもんだ

「日本のほうが、なんか既製服で安いじゃないですか」

ひろみ

いや、安くないよ。それは、海外は原状回復も敷金もないケースが多いから経済に国境がない現在ではインターナショナルスタンダードが必要なのよ

「ところで、ヒロミ社長のその靴、決まってるじゃないですか」

ひろみ

これはスティングレイ(エイ)の革靴。オーダーして作ったの。大事に履けば一生ものだよ

「ヒロミ社長は、足元からオートクチュールなんですね。おみそれしました~」

ひろみ

良いものを手入れして長く使う、それって建築物も同じなの。そろそろスクラップ&ビルドのワークプレイスも終わりにしないとな…原状回復もスクラップの代表みたいな制度だからね

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動画で「敷金返還事件」実例