【第1回】 賃貸借契約終了時の賃借人の原状回復義務Ⅰ~賃借物件に付加した付属物の撤去~

教えて!横粂先生

法律(民法)では、賃借人が賃貸借契約終了後、借りる前の状況(原状)に戻す義務(回復する義務)があるか否かについて明言されていません。民法上の文言は、借主の付属物を収去する権利は規定していますが、義務とはしていないのです(民法616条、598条)。

では、法律上、賃借人が賃貸物件を賃借していた状態のままで放置して退去することを許しているかというとそうではありません。

古くから裁判所や法学者は、民法の解釈上、賃借人は賃借人が賃貸借契約終了時に原状回復する義務として付属物を取り除く義務が認められていると考えています。

基本に立ち返って賃貸借契約とはどんな契約なのかを考えてみましょう。

賃貸借契約は、賃貸人が自己の所有または管理する賃貸物件を賃借人に使用又は収益させることで、代わりに賃借人から対価(賃料)を貰う契約です。しかし、賃貸借契約が終了すれば、以後賃借人は賃貸物件を使用することはできませんし、賃貸人は新たな賃借人を探し再度賃貸物件を貸し出すことになります。

このように、その賃貸物件を新たな賃借人に使用させ、収益させるためには、新たな賃貸借契約に邪魔となるものは旧賃借人に取り除かせなければいけませんし、借りた時の状態で引き渡すところまで含めて貸したものを返してもらうということだと考えるのです。

つまり、賃借人は賃貸借契約終了後には、賃貸人の賃貸物件に対する権利(所有権や管理権)を侵害しないようにしなければならないのです。

ADVICE ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

賃貸借契約終了後に賃借人としてどこまですべき義務があるのかには注意が必要です。「賃貸借契約がどういった契約なのか」から考えると分かりやすいですね。