【第3回】原状回復の「原状」について(東京地判平成18年1月17日 判例秘書)

教えて!横粂先生

これまで、賃貸借契約終了後の賃貸物件に賃借人により付加された物の収去や、賃貸物件の修繕について簡単に説明してきましたが、果たしてどこまで修繕すれば足りるのでしょうか。原状回復の「原状」とは、どのような意味なのでしょうか。参考になる裁判例をみてみましょう。

雑居ビル内の事務所仕様のテナント賃貸借契約において、賃貸人がスケルトン状態にする方法での原状回復を主張し、賃借人が当初の事務所仕様に戻すことで足りると主張した事件で、東京地方裁判所は、「本件賃貸借契約における原状回復とは、当初の事務所仕様に戻すことであることは、極めて明らかである」と判示しました。

当該事案は契約の解釈(契約書には契約終了後店舗内外に附加した什器、備品その他の物を撤去し、店舗を原状に復した上、明け渡す旨記載されていました)を前提とした判決ではありますが、事務所として借りた物件の「原状」とは事務所として借りた状態であると判示しています。

この裁判例を参考にすれば、一般的には、賃貸人と賃借人の合理的意思解釈として、原状とは「借りたときの状態」を指すと考えられます。

ADVICE ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

原状回復義務における「原状」とは、原則的に賃貸借契約時の状態、つまり「借りたときの状態」を指します。