【第4回】通常損耗とは

教えて!横粂先生

賃貸借契約締結時の賃貸物件と賃貸借契約終了時の賃貸物件を比べたときに、賃貸物件の劣化や損傷を、「通常損耗」や「特別損耗」といいます。「通常損耗」とは、極端な話、誰が使っていても生じてしまう賃貸物件の劣化や損傷を指します。代表的なのは、備えつけのカーペットの上に一般的な家具を置いたら凹んでしまった場合や、日照によりクロスや床が日焼けしてしまった場合などです。

他方で、「特別損耗」とは、当該賃借人が使用したからこそ生じた賃貸物件の劣化や損傷を指します。この場合には賃借人の管理が一般的なレベルに比べて不十分であったがために生じてしまった劣化や損傷も含みます。代表的なのは、備品を設置するために壁に穴をあけたり、換気が不十分でカビが大発生してしまったりした場合などです。

この項目では、代表的な通常損耗や特別損耗をご説明しましたが、世の中には様々な種類の賃貸物件がありますし、賃借人もいろんな人がいます。
このため、ある劣化や損傷が「通常損耗」なのか「特別損耗」なのか、判断に困る場合も結構ありますし、それらが裁判で争われることも多いのです。

ADVICE ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

賃貸物件の劣化や損傷には「通常損耗」と「特別損耗」があります。なかには経年劣化なのか賃借人の使用方法に問題があったのか判断が難しい場合もあり、注意が必要です。

事業用賃貸借物件おける「通常損耗」と「特別損耗」とは?

萩原

「原状回復・B工事」適正査定のパイオニアよりアドバイス

事業用賃貸物件は、住居使用とは違い事業の運営を合理的に行うための施設です。事業により不特定多数の人が出入りします。

結果として、経年劣化も経年変化も事業により損耗の程度「通常損耗」が違います。貸主は原状回復特約により損耗の状態に関わりなく、床壁全面貼り替え、天井は全面塗装を借主に通常損耗を負担させる原状回復義務とします。その上原状回復の施工業者を指定し、瑕疵工事、メンテナンスの対策をします。事業用賃貸では入居工事(原状変更)を施します。間仕切りは、床、壁、天井に固定します。

例えば、借主の要望で会議室とかスタジオとか区画を造作します。其々の区画に電気空調換気、防災その他設備を移設増設除去が発生します。その設備を「原状」に回復すること。これが「原状回復」です。

「すべての設備も天井壁に取り付けしますよ、これを撤去移設します」と、当然下地を損傷します。これが「特別損耗」になります。

原状回復適正査定とは?

原状回復の見積内容において、法務根拠を基準に建築設備をわかりやすく「ミエルカ」する必要があり、これを「原状回復適正査定」といいます。「原状回復適正査定」を査定会社に依頼して通常損耗、特別損耗、仮設準備工事、直接工事、諸経費まで明確に誰にでも解る査定書が交渉の基準となります。

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