オフィスや店舗から退去する時、契約書の「原状回復」の項目が「スケルトン工事」と指定されているケースがあります。今回は「スケルトン工事」とは何なのか、注意点や知っておくべきことなどを解説いたします。

<オフィスのスケルトン工事を頼む時に知っておくべきこと>
そもそもスケルトン工事って何?
「スケルトン工事」をする際の注意点
 ・スケルトン工事でのトラブル
 ・契約内容と見積もり内容を比較しよう
契約と少し違った工事になる場合も
 ・設備を“残せる”時の注意点
 ・工事の種類変更を求められた場合

①そもそもスケルトン工事って何?

オフィスの賃貸借契約書を見ると、原状回復の項目で「スケルトンにする」と書かれていることがあります。
原状回復におけるスケルトン工事というのは、『テナントが入居した時に取り付けた設備などをすべて撤去し、建築本体(躯体)のみにする』というものです。
原状回復とは「入居時の状態に戻すこと」が一般的ですので、入居時にスケルトン状態で借りた物件は、基本的にスケルトン状態にして返します。ただし、賃貸借契約書に「スケルトンで返す」とか「事務所仕様で返す」という意味のことが書いてあった時は、入居時の状態と違う場合でもそれに従って工事を行います。

他の記事で原状回復工事は安くすることが可能ということをご紹介してきましたが、スケルトンの工事も同様に安くすることができます。オーナー側から提示された金額が適正でなければ修正してもらいましょう。

②「スケルトン工事」をする際の注意点

「スケルトン工事は撤去するだけなので単純だからトラブルは起きにくいのでは」と考えられやすいようですが、実は結構複雑なケースも多くあります。

◆スケルトン工事でのトラブル◆
単純に撤去だけすれば済むという話ではありません。
例えば、
・建築本体(躯体)に取り付けたものを撤去する際、残った穴や傷をどこまで直すのか。
・防災設備はビルオーナーとテナント、どちらが工事するか。
・空調の配管がビルの中を通って屋上まで続いていた場合、どうするか。
といったことが原因でトラブルになる可能性があります。
契約書を確認して、こうした微妙な部分に関する詳細な取り決めがない時は、工事の前にオーナー側へ問い合わせて確認しておくといいでしょう。

◆契約内容と見積り内容を比較しよう◆
原状回復工事と同様に、契約上、本来する必要のないところまで工事されてしまうケースがあります。単純に“余計な出費”ですので、契約時に定めた工事区分はしっかりと確認しましょう。その上で見積りを見て、工事の内容が適正か判断してください。
よくわからない場合は専門家に相談してみるといいでしょう。

③契約と少し違った工事になる場合も

入居時にスケルトンだった物件はスケルトンにして返すのが原則ですが、オーナーによっては若干修正してくる場合があります。そうした時、どのように対応すればいいでしょうか。

◆設備を“残せる”時の注意点◆
テナントで取り付けた空調機などがまだ使える場合、「それは残してもいい」とオーナーから言われることがあります。
工事の量が減るので、テナントにとっては得な話ですが、その空調機に対して責任は持たないようにしましょう。例えば、修理や撤去が必要になった場合に費用を請求される、なんてことになったらたまったものではありません。

◆工事の種類変更を求められた場合◆
入居時の契約で「スケルトンにして返すこと」とあるのに、「事務所仕様にしてくれないか」と言われるケースがあります(その逆もあるでしょう)。
これはテナントに損なら拒否してもまったく問題ありません。最善な方法を選択・提案しましょう。どうすればいいか、どちらにした方が得かが判断できない場合は専門家に相談してみるといいでしょう。

この記事を書いた人

  • 堀田  猛

    コンサルタント 堀田 猛

    【店舗展開の内側も外側も商業施設のエキスパート】
    商業施設の企画・誘致・設計・施工に数多く携わり、商業施設コンサルタントおよび不動産・建築分野で「皆様のかゆいところに手が届く」をモットーとし活動中。商業施設や賃貸物件の「内装監理室」運営のエキスパートであり、施設側として資産区分(工事区分)の策定をしていた経験から、現在は原状回復・B工事に関しては知り尽くしており、コンサルタントとして多くの実績を生み出している。

ADVICE
ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

原状回復工事において「オフィスをスケルトンにする」というのは、設備を撤去し、躯体のみ(躯体表し状態)にすることです。入居時がスケルトン状態だった場合、原状回復工事は基本的にスケルトン工事になるでしょう。スケルトン工事による原状回復でも価格が適正でないケースがあり、その場合は価格を安くすることができます。

スケルトン工事でもトラブルが発生する可能性は十分にあります。むやみに問題化させないためにも、工事区分や細かい内容など事前に確認しておくと良いでしょう。契約書にない工事がされそうな時は問い合わせてください。

もし設備を一部残せる場合も、責任の所在は明確にしておきましょう。使用できなかったからと文句を言われてはたまりません。また、契約書と違う工事内容が求められた場合、自分たちにとって損になる時は拒否しましょう。どちらが得か判断できない時は、専門家に相談してみるといいでしょう。