オフィスや店舗の原状回復とは?
原状回復・B工事知ってトクするコラム
オフィスや店舗の移転(退去)の際は、原状回復工事をしなくてはいけません。
原状回復工事費は多額の費用が必要になりますが、交渉によって減額することは可能です。しかし、テナント側とオーナー側の認識のズレで多くのトラブルが発生しています。2021年消費者センターに相談した件数は、8,000件を超えました。コロナ禍でもあり閉鎖するオフィスや店舗が激増しており、このような社会情勢下、改正民法第621条により原状回復の定義・工事範囲の内容の明文化は貸主責任と定めました。原状回復義務履行をもって敷金返還が確定する。敷金も改正民法第622条2の1項により敷金の定義・敷金返還時期の明文化を貸主責任と定めました。改正民法により原状回復工事費の高騰問題に伴う敷金返還事件の減少を望みます。
当サイトは、原状回復義務履行をもって「敷金返還」という初歩的な「オフィスや店舗の原状回復とは?」の解説です。
「原状回復」とは?
原状回復とは、法律用語のひとつで「契約の解除や不法行為に伴い変化してしまった状態を変化する前の状態(入居した時の状態)に戻すこと」という意味です。
日本では一般的に不動産賃貸借契約で用いられる言葉で、「借主が退去する際に入居時の状態に戻すこと」を指します。不動産賃貸契約書では「原状回復」が使われますが、厳密に規定されているわけではないので稀に「原状復帰」も使用されています。建築関係の方の間でよく使われる言葉です。
オフィスや店舗と賃貸住宅における原状回復の違いとは?
オフィスや店舗における原状回復と賃貸住宅における原状回復の違いについて、それぞれ簡単に説明いたします。
オフィスや店舗の原状回復とは?
オフィスや店舗は基本的に営利目的の業務を行い、不特定多数の人が出入りする空間です。オフィスや店舗における原状回復とは、賃貸の住宅物件と違い「通常損耗」や「経年劣化」も含めて「入居した時の状態に戻す」ことをいいます。
例えば入居から20年経過して退去する場合、当時とまったく同じ建築設備を揃えて「入居した時の状態に戻す」ことが物理的に不可能です。したがって「一概に入居した状態(原状)に回復する行為」について、改正民法を考察し原状を賃貸契約更新の際に定めることが必要です。法務、建築設備、宅建の知見力のある専門家にご相談して下さい。
住宅の原状回復とは?
アパートやマンションなどの賃貸住宅物件は、生活空間としてなくてはならない空間です。その内装は、人が住むことによって自然と汚れや劣化が生じます。これを「通常損耗」や「経年劣化」といいます。
住宅物件における原状回復とは、「通常損耗」や「経年劣化」を除いた故意や過失によって生じた汚損や破損を修復します。賃貸住宅物件の場合、国土交通省が「原状回復のトラブルとガイドライン」を作成しており、基本的にこのガイドラインに従って原状回復されるようになっています。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はオフィスや店舗に適応されるのか?
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認すると、このガイドラインは、アパートやマンションなど人が生活する空間のためのガイドラインである旨が書いています。
しかし、弁護士の見解ではオフィスや店舗にも適用されると解釈する部分もあり、まったく無関係というわけでもありません。
善管注意義務とは
原状回復のことを調べていると「善管注意義務」という用語を見かけると思います。「善管注意義務」とは、「善良なる管理者の注意義務」という不動産用語で、相手方に引き渡しや明け渡しを行う前に使用している者へ適切な管理を義務付けたものです。要するに故意や過失による汚損や破損、または外部に対して危険行為のないように注意しなさいということです。
したがって、善管注意義務を怠った部分(使用者や管理者が汚したり、傷をつけたりした部分)は責任をもって修復修繕(特別損耗)の復旧する事が原状回復義務履行となります。 原状回復を約束した明渡日迄に完了しませんと、遅延損害金が発生します。特に解約予告を口頭で行い、解約日が曖昧なケースですとトラブルになりやすいので注意しましょう。
オフィスや店舗の原状回復は、住居と違い通常損耗の予測は事業により様々なので不可能です。そこで契約書、特約により明文化した工事内容を行うことになります(原状回復特約の有効性)。ガイドラインの適用外と言えるでしょう
敷金の定義・目的「敷金返還とは?」
裁判では、原状回復トラブルも敷金返還事件となります。これは我国独自の預託金「敷金(デポジット)」制度です。事業用不動産賃貸の場合、家賃の12倍とか、また店舗の場合は20倍など高額な預託金です。 この預託金は原状回復義務を履行し、借主の債務をすべて支払ってから敷金返還請求権が確定します。そこで改正民法では敷金の定義・目的を明文化しました。敷金、また保証金、権利金など呼び名の如何にかかわらず借主の債務不履行を担保することを目的とした預託金(敷金)と定め、さらに借主は原状回復及びすべての債務を履行することを前提として、敷金の返還時期の明文化も定めました。もともと預かっているお金が預託金(敷金)ですから、「速やかに返還しなさい」との法律です。
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