オフィスや店舗の内装設備の買い取り交渉で原状回復工事費用を大幅削減
原状回復・B工事知ってトクするコラム
原状回復とは借りた時の原状に復旧することであり、基本的に借主は入居後オフィスや店舗に増設した内装や設備を全て撤去しなければなりません。しかし、オフィスや店舗の環境を明らかに向上させた設備などは、交渉してそのまま残した方が次の入居者にとっても環境においてもプラスになることもあります。実は、そのような設備をオーナーに買い取ってもらう交渉をすることでオフィスや店舗の原状回復費用が削減できる場合もあるのです。
今回は、オフィスや店舗設備の買い取り交渉で原状回復工事費用を大幅削減する方法をご紹介します。
経済のトレンドとしては、スクラップ&ビルドからリユース、リサイクルにより環境に優しいビジネスに向かっています。これを先進国では「グリーントランスフォーメーシヨン(GX)」と呼んでいます。
オフィスや店舗の価値を向上させるものとは?
退去の際、交渉によりそのままオフィスや店舗に残した方が次の入居者やオーナーにとって有益と考えられるのはどのようなものでしょうか?
- 採光が良くないため、リニアルキッドによりLEDの照明に改造した
- 最新式のセキュリティシステムを導入(入退管理)
- 環境対応の空調換気設備を新設した
例えば、オフィスや店舗に上記のような工事を行っていれば、それらは次の入居者にとっても有益になると考えられます。わざわざ高額な原状回復工事費用を支払って撤去するよりも、交渉して残しておいた方が、無駄がなく環境にも優しいと思えますよね。
もしも、内装の大部分にまだ利用価値があると考えられるなら、オフィスや店舗の居抜き交渉をしてみるのも一つの方法でしょう。オフィスや店舗の天井や壁紙クロスなどをそのまま残しておいて欲しいという入居者がいれば、交渉次第で原状回復費用は大幅に削減することができます。
一方、スケルトン状態でオフィスや店舗に入居していて、退去の際にスケルトンに戻してしまうのであれば、一部の設備だけを残すというのは難しいと考えられます。その点はオーナーに相談して交渉してみましょう。
買い取り交渉で原状回復費用が安く抑えられる
店舗内装の厨房設備は買い取りの専門業者に連絡して買い取り交渉をして下さい。
買い取り交渉で原状回復費用が安く抑えられる可能性がある原状回復と言えば解体撤去することだけをイメージしがちですが、オフィスや店舗に取り付けた設備はそのまま残せる、または買い取ってもらえる場合もあります。そうすればオフィスや店舗の原状回復工事費用は大幅に削減できることになります。
借地借家法第33条により、「造作物買取請求権」では借主はオーナーに対して契約終了時に造作の買い取りを請求することができる場合もあります。造作とは、オーナーの承諾を得て取り付けた建具や設備(建具、電気・水道、空調換気、防災設備など)建物の価値を向上させるものをいいます。家具や備品など、独立性の高いものはそれに含まれませんので気を付けてください。
本来これらはオフィスや店舗入居後に借主が増設したものですから、契約終了の際には、全て撤去し、借主が原状回復工事費用を負担することになります。しかし、取り外して他で使い道がある場合、交渉により買い取るようにオーナーに交渉する権利が同義的に認められているのです。これを「造作買取請求権」といいます。
借主が内装設備をリユースできるテナントを探してきた場合、オーナーはリユースの買取先を承諾するしかありません。またはオーナーが買い取る場合、造作の所有権はオーナーの資産となり、代わりに対価を支払わなければなりません。つまり借主にとっては、マイナスの原状回復工事にプラスの箇所が生じるのです。
ただし、この権利を行使するためには、事前に交渉し、それらの内装設備について設置の承諾を得ておくことが必要です。買い取ってもらうことについては、設置する時点で交渉や承諾がなくても構いません。交渉なしに撤去の際に申し出るだけで良いのです。
予め特約によって買い取りが禁止されていれば請求権はなくなってしまいますが、交渉によって納得してもらうことができれば、買い取りとはいかずとも、そのまま残して良いと判断されるかもしれません。それだけでも、撤去するために必要だった原状回復工事費用は削減できることになります。
店舗の原状回復工事では、厨房設備を次のテナントに買い取ってもらう事はよくあります。また、居抜きで入居を希望するテナントが見つかる可能性もあります。いずれにしてもビルオーナーの協力が不可欠です。
参考
一般的な賃貸契約では「造作の買取請求権を禁止」しています。契約書を確かめた上でオーナーと話し合いして下さい。買い取りは不可でも居抜き退去の話合いは可能です。
ADVICE ON ONE POINT
ワンポイントアドバイス
基本的に、入居後にオフィスや店舗に新設した内装設備は原則では解体撤去する事になります。原状回復工事費用について交渉する際は、価値のある内装設備の見極めをプロフェショナルに相談して下さい。
しかし、2018年以前の電気・空調・換気・その他設備については、環境対応でない場合買い取りも厳しいと思います。美装で最新式の電気・空調・換気・その他設備であれば居抜きで入居するテナントが見つかる可能性もあります。