原状回復・B工事コンサルタントは、なぜ必要なの?

原状回復・B工事知ってトクするコラム

オフィスや店舗の新装の際、トラブルの原因になりやすい原状回復・B工事関係のコンサルタントに依頼する企業が年々増えています。

しかし、どういうケースの時に、原状回復・B工事のコンサルタントへ頼むと良いのでしょうか。また、コンサルタントに依頼するタイミングや、自社にとって最適なコンサルタントを選ぶべきかなど難しい問題だと思います。

今回は、こうしたワークプレイス移転プロジェクト担当者様がお悩みになるポイントや、原状回復・B工事のコンサルタントの選び方についてご紹介いたします。

オフィスや店舗の原状回復において、コンサルタント(アドバイザー)は必要?

原状回復・B工事のお問合せ内容としては、下記1、2の工事費の高騰問題が一番多くお問合せいただきます。

お問合せベスト5

  1. 「原状回復工事費用があまりにも高い」
  2. 「入居B工事(原状変更)の費用が高くて実行予算が意味をなさない」
  3. 「これ原状回復工事なの?」
  4. 「この工事は、本当にB工事なの?」
  5. 「こんな高い工事なのに、指定業者に発注しなければいけないのか?」

次にお問合せが多いのは、3~5です。さらに「●月●日までに指定業者に工事を発注しませんと工事が終わりません。明渡し遅延損害金の対象となります」などいわれ、ビル側に不信感を感じトラブルを未然に防ぐために多く相談されます。

まず、賃貸借契約書や原状回復特約、工事区分表などをよく理解して、自社の原状回復工事内容はどうなっているのか、また原状変更のB工事の工事区分を理解しましょう。

その上で、ビルオーナーや管理会社に原状回復工事の見積金額や工事範囲について質問してください。その際、賃貸借契約書に書かれていない内容を要求したり、原状回復工事の見積り金額があまりに高額だったり、オーナー側が賃貸借契約書の内容をきちんと把握していない場合、トラブルに発展する可能性が高くなります。

こういった場合は、まず悩まず、原状回復を専門に取り扱っているコンサルタントに相談するといいでしょう。
原状回復におけるトラブルを回避し、オフィス移転や店舗閉店をスムーズに行うことが可能となります。不本意ですが裁判になったとしても原告、被告、裁判員全て建築、設備、宅建の専門家が弁護士をサポートします。
これは法律の専門家だけでは、公正な審議は不可能と思われるからです。その対策として東京地裁は原状回復トラブルに伴う敷金返還事件では全て民事22部建築専門部会で審議されます。このような専門性の高い業務を借主側の管理部門責任者だけで解決するは難しいのが現実です。

コンサルタントに相談するタイミングは?

オフィスや店舗の原状回復工事が既に終了した後に、今から減額できないかという相談があります。結論から言うと、できる場合もあります。具体的に見ていきましょう。

ご相談にくる移転担当者の方の中には、依頼するタイミングがよくわからず、ギリギリになってから相談されるケースがよく見受けられますが、基本的に、原状回復工事を発注する3ヶ月前には相談されることをお勧めします。
なぜなら、原状回復における専門知識がない方には難しそうな案件でも、専門家がやれば簡単に解決できることは多くあるのです。ただし、引越日の数日前に、ビルオーナーより原状回復工事の見積書が届きます。その見積金額が想定外の高さに驚き、悩んでいるうちに手遅れになってしまうケースがよく見られます。そのような場合は、早急に専門家、またコンサルタントに依頼することをお勧めします。

多くのコンサルタントは、無料で相談を受け付けていますので、自分で考え込まず、気軽に相談してみると良いでしょう。

最適なコンサルタント選び

原状回復について相談を受け付けているコンサルタントはいくつかありますが、どこを選べばいいか迷うという声をよく聞きます。
厳密にいいますと、原状回復コンサルタントは法律事務をあつかう可能性が高いため、技術アドバイザーとなります。類似のケースでは、金融の債権債務を扱うビジネスパースンを金融アドバイザリーサービスといい、担当者を「コンサルタント(アドバイザー)」と呼んでいるのと同じです。「弁護士法第72条非弁行為」合法的に回避する為です。この対策を明確にしている会社を選ぶ事は絶対条件です。

原状回復とは、不動産賃貸借契約の解約に伴う明け渡し条件です。

したがって、不動産の知識が必須になるでしょう。また、工事内容を精査するためにも建築設備に強い必要もあります。

そして交渉を確実に進めるためにも、これまでの判例に詳しいことが求められるのです。原状回復のコンサルタント選びで重要になるポイントは「不動産」「建築」「判例」に強いことです。ホームページを見たり、実際に相談してみたりして判断するといいでしょう。基本的にこの3つの知識が全てそろって、最適なコンサルティングが可能となります。

コンサルタント選びのポイント

  • 不動産知識があること(ビル官法、ビル運営のルール、借地借家法その他不動産関連の法務)
  • 建築設備知識があること(現場力、技術力、建築基準法、消防法その他関連法)
  • 原状回復.敷金返還事件の過去の判例における知識があること(法務力)

また、コンサルタントに依頼することは、原状回復工事の費用や時間を抑えられるほか、トラブルを回避するというリスクマネジメントの効果もあります。

コンサルタント料は、原状回復工事費用を削減できた分の何割かで済むという会社もあります。相談料を惜しみ自己解決しようとして、問題をこじらせては「一文惜しみの百知らず」な結果になりかねません。

工期を考慮して、明渡し日迄に原状回復義務を履行することは必ず押さえておかなければならない最重要事項です。

原状回復について悩みごとが発生したら、気軽に専門家へ相談してみることをお勧めします。

改正民法第621条(原状回復)と改正民法第622条の2.1項交渉の考慮要件

コロナ禍も3年、中小個人経営413万社は、コロナ前の負債は3倍となっています。中小ビルオーナーも空室率が高く財務が損傷しております。

「原状回復工事費が高い」、「敷金返還がない」、「いつ返還されるの?」とこんな相談が多くなりました。そんな社会状況下、改正民法第621条では原状回復の定義範囲・工事内容の明文化を貸主責任と定めました。賃貸契約書、原状回復特約に上記を明文化されていなければ、原状回復工事より除外できる可能性が高くなりました。改正民法の考え方が基準となります。これは最大の考慮要件です。

敷金については、原状回復義務履行、その他債務の支払いを履行して敷金返還請求権が確定します。

改正民法第622条の2.I項では、敷金の定義目的を明文化しました。これによると敷金、保証金、権利金などに呼び名の如何にかかわらず、借主の債務不履行を担保する目的と定義されました。また敷金返還時期の明文化も貸主の義務となりました。敷金(預託金)償却は無効となる可能性が高いと思います。

敷金は「預託金(デポジット)」です。「原状回復義務、その他債務をすべて履行したら、速やかに敷金を返還しなさい」という法律です。この改正民法はコンサルタントにとって、協議の際の考慮要件となりました。

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