オフィスや店舗の原状回復工事費用を安くするには?
原状回復・B工事知ってトクするコラム
オフィスや店舗などのテナントを退去する際、原状回復義務があるからといって借主は何でもすべて新品に買い替えなければならないわけではありません。オフィスの仕様状況に応じて、より適切な工事の手段を選択することで、オフィスや店舗の原状回復費用が大きく安くなるケースがあるのです。オフィスや店舗の移転担当者からすると、すべて新しいものに買い替えなければならないと考えがちですが、費用を安く抑えられる可能性もあります。
今回は、オフィスや店舗の費用を安く抑える方法をご紹介します。
※原状回復義務とは、本来修繕修復義務であり、全てを新品に交換する事ではありません。
新品への交換にかかる原状回復工事費用(特別損耗の復旧方法)
オフィスや店舗の壁紙や床、天井などを残して退去するケースでは、オーナーから通常全て新品に貼り替えてから明け渡すことが要求されます。
そして、その施工内容として、まずは全面貼り替えなど、これまでオフィスや店舗で使ったものを新品にするという選択肢が出ています。
原状回復工事費用をテナントが負担するのであれば、当然、確実に新しくきれいなものになるのですからオーナー側にとっては、それが最も安心と言えるでしょう。
しかし、これらの施工は高額であり、中には「そこまでしなくてもいいのでは?」というケースもあります。
例えば、入居期間が短く、目立った汚れや破損もないのに、オーナーからは「とにかく新品にしなければならない」と言われた場合などは、施工内容について工事費用を安く抑える交渉ができる可能性があります。(原状回復特約の有効性)
修繕にかかる原状回復工事費用(損耗の程度で復旧方法の選択肢はある)
オフィスの壁紙や床に多少の損耗がある場合でも、修繕でまかなうことが出来れば、新品への貼り替えと比べ、原状回復費用はずいぶん安く抑えられます。
例えば、クロスメイクは、壁紙そのものを新品に交換するのではなく、表面の穴や傷を修繕してから染色剤を塗布することで、見た目を新品同様に再生させる方法です。ひどい汚れには残念ながら対応できませんが、貼り替えよりも安く、素早い施工が可能となります。
また、貼り替えると高額になりがちなフローリングも、傷を修繕して汚れを取り除き、コーティングすることでコストを安く抑え、新品に近い状態に仕上げられます。
大抵の場合、リペアという手法は、新品への交換よりも安く、仕上がりにも十分な効果が得られる場合があります。
もちろん、オーナーから貼り替えを要求されているのに、「新品に見えるからこれで十分」などと勝手に判断することは出来ませんが、双方が納得の上での判断でしたらこのような選択肢もあるということです。
全ての原状回復義務は賃貸契約書、原状回復特約が基準となります。
横粂弁護士が解説しています
ADVICE ON ONE POINT
ワンポイントアドバイス
きれいにしてオフィスや店舗を退去する、ということを目的に考えた場合、上記の方法については様々な検討の余地があります。ただし、原状回復工事の業者はオーナー側によって指定されている場合が多く、必ずしも希望するサービスが取り扱われているとは限りません。この場合、オーナー側に上記で記載した方法をもとに交渉しても、なかなかうまく交渉できないと思います。できれば、第三者の専門家に交渉に入ってもらって、希望する施工について提案してもらう形が理想的です。そして、最後にそもそもオフィスの床材、壁紙や天井の劣化は、通常損耗の範囲であれば、借主側が原状回復工事費用を負担する必要がない可能性もあります。少しでも安く費用をおさえられる場合がありますので契約内容をよく確認してみましょう。原状回復特約を確認して下さい。