オフィスや店舗の退去時には、契約に従って原状回復をする必要があります。ただ、提示された工事価格の見積りに納得がいかず、交渉を考える担当者も多いのではないでしょうか。

今回は効果的に交渉を進めるために知っておくと良い情報をご紹介します。

<オフィスや店舗の原状回復は交渉次第で減額できる可能性大!>

見積り交渉はしないともったいない?
原状回復費用における交渉時の注意点
ワンポイントアドバイス

①見積り交渉はしないともったいない?

基本的に原状回復工事においては、ほとんどの見積りで、交渉が可能です。
適正な金額による見積りもありますが、その場合でもテナント側は事情を説明した上で値引き交渉をお願いすることができます。
出された見積り金額をそのまま認めてしまうのは“もったいない”といえるでしょう。

原状回復工事は、賃貸借契約書に沿って行いますが、工事区分表や原状回復要綱などがある場合はそれに従う必要があります。また工事単価が予め決められているケースもあります。こうした内容に沿った見積りが出ているかをきちんとチェックしましょう。

ひとつ注意しなければいけないのは、入居時や解約通知時に原状回復の金額を認めて押印までしてしまっている場合です。このケースではもう交渉はできません。また、見積りに納得し押印している場合も同様です。「その金額で問題ないですよ」と認めていることになりますので、交渉ができないのです。

②原状回復費用における交渉時の注意点

【原状回復費用における交渉は、早めに!】
原状回復工事には発注期限があります。期限を過ぎてからも交渉を続けていては明け渡しが遅れ、遅延損害金が発生する場合があるのです。
費用を圧縮するために交渉しているのに、余計なお金を使うことになっては本末転倒です。オフィスを退去する時は、すぐに原状回復工事の見積りを出してもらうようにして、すみやかに交渉に入るようにしましょう。
遅延損害金は賃料の2倍請求されることもありますので、大きな出費になってしまいます。

【発注したい工事金額を先に言わないように】
価格交渉の基本ですが、自分が想定する金額は先に言わないことです。
例えば、100万円の見積りが出てきたとしましょう。テナントは80万円くらいにならないかと交渉し、受け入れられました。しかしうまく交渉すれば50万円まで下げられた案件だったというケースは意外と多くあります。
交渉が苦手だという方は専門家に任せるという手段もありますので、選択肢として覚えておくといいでしょう。

【論点を明確に】
弁護士や専門家以外の方が交渉する場合にありがちなのが、話しているうちに論点がずれてきてしまうということです。見積りに問題点があれば、そこをきっちりと攻めるべきですが、話があっちこっちに飛んでしまい問題がウヤムヤになるケースが多いです。
Aという問題があり、そこを正せば10万円は下げられたはずが、交渉しているうちにBの話になってしまい3万円しか下げられなかった。ということは珍しくありません。下げられればまだ良い方で、よく分からないうちに終わってしまうこともあります。

【相見積りを交渉の材料にする時は慎重に】
オーナー側の業者が出した見積りが信用できず、独自に見積りを出して交渉するというテナントさんがいらっしゃいます。
しかし相見積りした見積りの項目に、本来テナント負担でないものが入ってしまっていたというケースがあります。この場合、テナント側は工事の項目を認めていることになりますので注意が必要です。
原状回復工事では、「本来テナントがやらなくていい部分が含まれている」というケースが少なくありません。こうした内容は、賃貸借契約書や工事区分表などで判断できますので、しっかりと確認しておきましょう。

ADVICE
ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

オフィスの移転、退去に伴う金額で大きな割合を占める原状回復工事費用ですが、価格交渉をする余地は充分にあります。
テナント側としては費用を抑えられればそれに越したことはないので、賃貸借契約書や工事区分表、原状回復要綱などに書かれた内容と見積書を照らし合わせてみましょう。
不要な工事が含まれていたり、水増し請求されていたりした場合、交渉によって当初の見積もりより大幅に減額できる可能性があります。

交渉時で特に注意していただきたい点は以下の4点です。
① 発注期限以降の交渉では遅延損害金が発生する場合がある
② 希望工事金額を先に伝えると、その金額以下には下がりにくい
③ 専門知識がない中での交渉は、論点がずれて上手く進まない
④ 相見積書での交渉は、不要な工事項目がないかを注意する

「交渉できるかどうか判断できない」とか「うまく交渉する自信がない」という場合は一度専門家に相談してみてください。交渉によってどのくらい減額できるかすぐに適正査定が可能となります。