オフィスや店舗の原状回復における範囲については、賃貸借契約書に原状回復特約として記載されています。
これを入居する際も、退去する際も、十分に理解しておかないと、ビルオーナーと揉める原因になるので、しっかり確認しておきましょう。

ここでは、オフィスや店舗による原状回復の範囲について簡単に説明します。

<原状回復の範囲3つのポイント>

基本的に原状回復義務は「入居当時の原状に回復する」
原状回復特約が適応される
オフィスや店舗における通常損耗

①基本的に原状回復義務は「入居当時の原状に回復する」

オフィスや店舗の原状回復義務は、基本的に「入居当時の原状に回復する」ことですので、コンクリート打ちっぱなし状態のスケルトン貸しで入居したのであれば、退去時に物件をスケルトン状態に戻して、明け渡す必要があります。

但し、増設した設備に関して、環境的に良いなどの理由から撤去せずにそのまま残したほうが良いと、ビルオーナーが判断した場合は、そのまま残すというケースもありますので、少しでもコストを削減したい場合は、是非、ビルオーナーと相談してみてください。

■BEFORE(退去前)
退去前

■AFTER(スケルトンで退去)
退去後

②原状回復特約が適応される

居住目的の賃貸と違い、オフィスや店舗の原状回復義務は、原状回復特約という原状回復義務が課せられます。

一般的な居住目的の賃貸の場合、原状回復義務に対し、賃貸人と賃借人の間で、敷金や保証金の返還などを巡ってトラブルが相次いだ為、国土交通省により「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」が作成され、居住目的の賃貸住宅においては、このガイドラインや消費者契約法が適応されることにより、経年劣化による通常損耗は、原状回復義務にあたらないという考えとなっています。

一方、オフィスや店舗などの原状回復の場合は、入居後の物件に対し、不特定多数の人の出入りがあることや、ビルオーナー側が予め想定できない損耗を引き起こす可能性がある為、原状回復特約として、クロス、床板、照明器具や天井張替えなどを設けることがあるのです。

つまり、通常損耗の範囲が、居住目的の賃貸とは、全く異なることを理解しておく必要があります。

③オフィスや店舗における通常損耗

そもそも、「通常損耗」とは、何なのか? 通常損耗とは、オフィスや店舗として利用している物件を普通に使っている際に発生する傷みのことです。故意的な過失ではなく「損耗した状態」を指します。

(ちなみに経年劣化という言葉がありますが、これは年月を通して自然劣化することを指します。)

では、オフィスや店舗による通常損耗の範囲は、どうやって見極めるのでしょうか?

それは、入居時の賃貸借契約書に記載されている原状回復特約に記載されているのです。
契約内容によっては、「通常損耗の範囲も原状回復に含める」という文言が入っている場合があります。この場合は、賃貸借契約書に従う必要がありますので、注意が必要です。

ですが、原状回復義務は、あくまでも「入居当時の原状に回復する」ことですので、退去時の原状回復において、むやみに設備や機能面においてのグレードアップ要求には、従う必要はありません。

原状回復特約における通常損耗においては、以下の3つに気をつけましょう。

<オフィスや店舗における通常損耗の3つのポイント>
・入居時の賃貸借契約書をよく確認する。
・入居時の物件状態をしっかり確認しておく。
・賃貸借契約書などの内容を顧問弁護士や、第三者機関の利用に相談する。

ADVICE
ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

オフィスや店舗の原状回復の範囲については、入居時の賃貸借契約書に記載されていることをきちんと把握しましょう。また、普段からビルオーナー側とのコミュニケーションを図ることで、共有認識が生まれ、円滑に原状回復工事を行う秘訣となります。何か疑問点や気になることがあれば、解決してから工事にとりかかるようにするとスムーズに原状回復工事を完了することができると思います。