東日本大震災以降、又、東京オリンピック開催決定以降、賃貸借契約においても、明け渡しの際のオフィスや店舗における原状回復費の高騰問題が社会的問題になっています。

今回は、オフィスビル、ハイグレードビルの原状回復の坪単価や相場、特にハイグレードビルにおける原状回復費用の高額原因を解説します。

<オフィスや店舗における原状回復の坪単価及び相場>

原状回復の坪単価と相場ってどのくらい?
ハイグレードビルの原状回復費用が高額な5つの理由
ワンポイントアドバイス

①原状回復の坪単価と相場ってどのくらい?

一般的に、オフィスや店舗の原状回復の坪単価や相場というのは、独立系の小規模ビル、丸の内にあるような超大型インテリジェントビルまで、原状回復の費用は、約2.5万円~50万円/坪と、不透明でアンフェアです。

特にハイグレードビルなどは、約10万円~50万円/坪が目安となります。
一方、独立系の小規模ビル等は、原状変更にもよりますが、約2.5万円~4万円/坪といわれております。

つまり、グレードの高いビルほど高額になります。

余談ではありますが、(株)スリーエー・コーポレーションでの事例として、弊社が担当した物件は、42万円/坪にも関わらず、同エリアで、同グレードの他社ビルは、約4万円/坪となっておりました。つまり、ビル側の対応によって、10倍以上の価格差が発生することがあるのです。

実際のところ、原状回復費用については、全く平均値が出せないというのが実態です。

②ハイグレードビルの原状回復費用が高額な5つの理由

それでは、ハイグレードビルの原状回復費用は、どうしてそんなに高額になるのか?その理由について、説明します。

①賃貸人もしくは賃貸人の指定する業者以外施工不可
俗に「指定業者制度」といい、品質維持は安心ですが、競争原理が働かない為、高額になります。

②重層下請け構造
BM(建物維持管理)、ビル管理法を遵守のうえ、賃借人に、安全・安心・快適を提供する為、電気、空調、防災、ELV、建築など、様々な建設会社、及びサブコンといわれる電気、その他設備会社が携わっております。

【例】
指定業者 (BM:ビル管理会社)
一次下請け(ゼネコン) 新築、大規模改修施工業者
二次下請け(各種大手設備会社) サブコン
三次下請け(大手設備会社の協力会社) サブコンの下請け協力会社
四次下請け(専門職人) 実質施工業者

四会連合約款により、一式請負で分離発注といえども丸投げは禁止、と指導されております。現状は、優先順位として、賃借人に、安心・安全・快適を提供する為のビルメンテナンスに関わる業者の重層下請け構造になっているケースが多いです。

③原状回復の範囲の不透明
ワンフロア/ワンテナントなどの場合、共用部も原状回復の対象になったり、電気、その他設備がインテリジェント化の為、中央管理室で制御されている為、賃借しているオフィス面積以外にも、配線、配管、コンピューターソフト基本データ設定など、原状回復の対象となるケースが多いです。
(上記の判例は未だありません)

④特別損耗の回復方法が曖昧
資産の残存価値にかかわりなく、全て新品にするなど、特別損耗の回復方法で、費用は大きく違います。

⑤仮設準備工事、現場管理費、諸経費、官庁申請費、仮設事務所新設など
原状回復をやる為の工事(原状回復から段取り工事を除いた工事を「直接工事」といいます)準備、段取り、管理費の割合が極めて高い、又、ビル運営のルールにより、技能士の夜間割増、警備員費など、契約書に記されていない事項が様々、見積内訳に記されており、極めて高額になるケースが多いです。

ADVICE
ON ONE POINT

ワンポイントアドバイス

指定業者制度は、日本独自に発達した制度であり、入居の際のB工事、原状回復とも、欧州・米国ではありません。ピッタリとした英語がないのもこのためです。10年前に竣工したビルに入居し、10年で退去したと仮定すれば、20年前に戻すという考え方が原状回復です。内装材、設備材も廃番のケースが多く、今現在の環境に優しい内装、電気設備に改修するという考え方が、欧州・米国スタイルです。賃貸人、賃借人は、情報の格差があり、専門知識を有した担当者も賃借人側にはおりません。賃貸人側業者と対等に協議できる専門家は賃借人にはおりませんので、原状回復の専門家に相談されることがベストな選択と思います。
その際、相談された賃借人側の専門家は、原状回復、B工事など、いつ、いくらの費用で合意できるか、プロ集団として成果物を予想できる経験と知識を有した専門家集団(PMR)にご相談されるべきでしょう。