オフィスや店舗の移転(退去)の際は、原状回復の工事をしなくてはいけません。

原状回復は、多額の費用が必要になりますが、交渉によって減額することが可能です。しかし、テナント側とオーナー側の認識のズレでトラブルに発展してしまうことも多々あります。

当サイトでも様々な情報をお話していますが、今回は「オフィスや店舗の原状回復とは?」という初歩的なことを改めて解説いたします。

<オフィスや店舗の原状回復とは?>

そもそも「原状回復」とは?
オフィスや店舗と賃貸住宅における原状回復の違いとは?
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はオフィスや店舗に適応されるのか?

①そもそも「原状回復」とは?

原状回復とは、法律用語のひとつで「契約の解除や不法行為に伴い変化してしまった状態を、変化する前の状態(もしくは、それらの行為がなければ保てていたであろう状態)に戻すこと」という意味です。

日本では一般的に不動産賃貸借契約で用いられる言葉で、借主が退去する際に入居時の状態に戻すことを指します。似たような言葉で「原状復帰」というものがありますが、意味は原状回復と変わりません。建築関係の方の間でよく使われる言葉です。

不動産契約書では「原状回復」が一般的に使われますが、厳密に規定されているわけではないので稀に「原状復帰」も使用されています。

②オフィスや店舗と賃貸住宅における原状回復の違いとは?

オフィスや店舗における原状回復と賃貸住宅における原状回復の違いについて、それぞれ簡単に説明いたします。

■ オフィスや店舗の原状回復とは?
オフィスや店舗は基本的に営利目的の業務を行い、不特定多数の人が出入りする空間です。オフィスや店舗における原状回復とは、賃貸の住宅物件と違い「通常損耗」や「経年劣化」も含めて「入居した時の状態に戻す」ことをいいます。
ただ、例えば入居から30年経過して退去する場合、当時とまったく同じ設備を揃えて「入居した時の状態に戻す」ことが現実的に困難なことも考えられます。したがって「一概に入居した状態に戻すのみではない」という判例も出ています。

■ 住宅の原状回復とは?
アパートやマンションなどの賃貸住宅物件は、生活空間として無くてはならない空間です。その内装は、人が住むことによって自然と汚れや劣化が生じます。これを「通常損耗」や「経年劣化」といいます。住宅物件における原状回復とは、「通常損耗」や「経年劣化」を除いた、故意や過失によって生じた汚損や破損を修復します。
賃貸住宅物件の場合、国土交通省が「原状回復のトラブルとガイドライン」を作成しており、基本的にこのガイドラインに従って原状回復されるようになっています。

③「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はオフィスや店舗に適応されるのか?

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認すると、このガイドラインは、アパートやマンションなど人が生活する空間のためのガイドラインである旨が書いてあります。

しかし、弁護士の見解ではオフィスや店舗にも適用されると解釈する部分もあり、まったく無関係というわけでもありません。

■ 善管注意義務とは?
原状回復のことを調べていると「善管注意義務」という用語を見かけると思います。
「善管注意義務」とは、「善良なる管理者の注意義務」という不動産用語で、相手方に引き渡しや明け渡しを行う前に使用している者へ適切な管理を義務付けたものです。要するに故意や過失による汚損や破損、または外部に対して危険行為のないように注意しなさいということです。
したがって、善管注意義務を怠った部分(使用者や管理者が汚したり、傷をつけたりした部分)は責任をもって修復修繕(原状回復)しなければいけません。ができないことがあります。

こうした場合、遅延損害金が発生します。特に解約予告を口頭で行い、解約日が曖昧なケースですとトラブルになりやすいので注意しましょう。