Q10 預託金・敷金・権利金どこが違うの?【改正民法編】

2020年4月に執行された改正民法(第622条の2第1項)により、敷金の定義・目的について明文化されました。

貸主に対する借主の家賃他、賃貸借契約の債務不履行の担保として預託する金銭のことを敷金であると定義されました。また、敷金、保証金、権利金、呼び名の如何にかかわらず、債務不履行を担保とする預託金(デポジット)は敷金と同じ法理となります。したがって敷金も保証金も権利金も同じ意味となります。

①敷金返還、敷金返還時期の明文化とは
賃貸借契約における債務を全て借主が履行したのち、すみやかに敷金を返還することを改正民法で法制化されました。敷金返還は、原状回復義務を履行して敷金返還額が確定します。敷金と原状回復はセットで考察することが必要です。

②保証金・保証金の償却、更新料の法務根拠とは
保証金とは改正民法によると敷金と同じ意味になります。敷金は東日本でよく使用されます。保証金は西日本で使用されています。中小ビルの賃貸借にみられる保証金の償却費については、借主の債務不履行を担保とする目的ですので、今後、保証金や更新料など、賃貸借契約に書かれているから有効であるとする法務根拠は厳しいと推察されます。原状回復・敷金など、借地借家法に詳しい専門家に相談することをお勧めします。

弁護士横粂先生監修:改正民法「敷金の定義の明文化と敷金返還時期の明文化」